本書では、通夜、葬儀・告別式、法要に参列する場合と、葬儀を出す場合の両方の立場から、基本的なマナーを、図やイラストつきで解説した。日本で多数派の仏式ばかりでなく、神式やキリスト教式についても、説明。さらに、お見舞いやお悔やみの手紙の例文もあげている。
第1章 通夜・告別式に参列するとき
第2章 仏式以外の通夜・告別式に参列するとき
第3章 仏式の通夜・葬儀・告別式を出すとき
第4章 仏式以外の通夜・葬儀・告別式を出すとき
第5章 お見舞いのマナー
第6章 お悔やみ・お見舞いの手紙のマナー
お見舞い用の封筒とは?(封筒の選び方と書き方)
お見舞い用の封筒は、紅白のご祝儀袋を使います。
「入院中なのに紅白のおめでたいご祝儀袋でいいの?」と思ってしまいますが、お見舞いというのは”入院している人の様子を伺い全快を祝う”という目的なので紅白のご祝儀袋で問題ありません。
ですが結婚用などの派手な装飾が施されていないシンプルなものが好ましいです。
また、熨斗のないご祝儀袋が無難になります。
熨斗というのは地域によって考え方が異なり、ある地域では”長寿を表す熨斗がついている方がお見舞い用にふさわしい”と考え、ある地域では”お見舞いはお祝い事ではないので熨斗付きのご祝儀袋はふさわしくない”という考えがあります。
こうしたことから入院中の人がどんな考えの地域に住んでいるのか分からない場合は熨斗がついていないご祝儀袋を選んだ方が無難です。
お見舞い用の封筒の書き方等は以下になります。
・表包みの表の書き方
中央の上部に”御見舞”、下部に”送り主の名前”を書きます。
上部に書く”御見舞”を”お見舞い”と書かないようにしましょう。
4文字というのは死をイメージさせることから縁起が悪いのです。
そのためこうした場では4文字にしないのがマナーになります。
・毛筆または筆ペンもしくは印刷
お見舞い用の封筒に文字を書くときは毛筆もしくは筆ペンもしくは印刷を使用します。
ボールペンや万年筆はマナー違反になるので気を付けましょう。
・連名を記載する際は目上の人が右上
送り主が連名の場合は目上の人が一番右側になるように書きます。
夫婦であれば夫の名前を右側にフルネームで書き、妻は名前だけを夫の名前の左側に書きます。
4名以上になる場合は代表者の名前を右側に書いて、その左側に”外一同”と小さく書きましょう。
・金額は縦書き
中袋に入れたお見舞金は、表書きとして中袋の中央に金額を縦書きします。
その時に漢字や数字ではなく旧字を使用すると丁寧な印象になります。
・中袋の裏に氏名と住所を書く
中袋の裏面に氏名と住所を書きます。
書く位置としては中袋の裏の左下です。
お見舞いの言葉(適切な言葉、NGな言葉)
お見舞いの際や手紙を書く時に適切な言葉としては”励まし”です。
例えば「顔色が良くなりましたね」「回復が順調みたいで安心しました」「お大事になさってください」「焦らずご療養ください」「この機会にゆっくり休んでください」といった言葉になります。
プレッシャーを与えることなく治療や回復に専念してほしいという気持ち・励ましの言葉が理想的です。
入院している人が前向きな気持ち・考えになれる言葉がけが最低限のマナーになります。
反対に言ってはいけないNGな言葉としては”忌み”です。
入院中の人は1日でも早く回復したいという気持ちでいるので、病気やケガ等が長引いたり、繰り返しを連想させる忌み言葉は嫌な気持ちにさせてしまいます。
また、入院中は特にマイナスなイメージを感じやすい”弱る””衰える””終わる””消える””失う”といった言葉もNGです。
手紙を書く際は死を連想しやすい”四”や”苦”といった言葉や漢字は極力使わないようにしましょう。
お見舞いのお金(金額、入れ方包み方、新札は?)
お見舞いのお金は渡す相手によって金額が異なります。
・会社の場合
同期であれば5000円。部下であれば3000~5000円
上司や目上の方の場合お見舞金を渡すのは失礼にあたるので、相手が受け取りやすい品や手紙等が好ましいです。
・家族や親戚の場合
基本的には5000~1万円が相場となっています。
・友人の場合
一般的には3000~5000円が相場となっています。
お見舞いのお金の入れ方・包み方については、病気やケガのお見舞金の場合はお札の人物の顔が表で、上向きに入れます。
この入れ方・包み方には”回復を願う””元気になってほしい”という前向きなメッセージを意味しているので、人物の顔を裏にしたり、下向きに入れないようにしましょう。
ちなみに、お見舞金で新札を入れるのはNGです。
新札は手元にあることがほとんどないため、新札を包んでしまうと「事前に用意しておいたのかな?」と相手を不快な気持ちにさせてしまいます。
もちろんシワシワのお札も失礼にあたるので、ある程度折り目のついているお札が好ましいです。
お見舞いに行くタイミング
お見舞いに行くタイミングとしては、入院してから3~4日程が経過した時もしくは手術後の2から3日程が経過した頃が適しています。
もちろん入院している人の容態によって適したタイミングは異なるため、お見舞いに行く際は勝手に判断せず、入院をしている人もしくはその近くにいる人に必ず連絡を取ってからお見舞いに行くことをオススメします。
また、当たり前のことではありますが面会時間を守ることと、入院している人とその家族の負担にならない程度で面会を切り上げるのもマナーです。
お見舞いに行く際は昼食が済んで落ち着き始める13時頃がオススメです。
身近な人が入院すると「心配だから早くお見舞いに行きたい」「少しでもいいから顔を見たい」という気持ちになりますが、自分本位に行動するのではなく、入院している人やその家族の気持ちや状態を考えましょう。
また、人によっては「入院している姿を見られたくない」「こんな格好で会いたくない」と思っていることもあるので、その点も配慮・理解してください。
お見舞い品の選び方
・食べ物や飲み物の場合
入院している相手の病状やアレルギー等に配慮が必要です。
食事制限をしている場合、お見舞いの品を渡しても食べることができないので食べ物や飲み物を渡す際は入院している人もしくは家族に連絡をして聞きましょう。
喜ばれるモノとしては日持ちする焼き菓子、水分が多く喉越しのいいゼリーやプリン、包丁等を使わずにすぐに食べることができる果物、ふりかけです。
・グッズの場合
長い入院となると実用的なグッズの差し入れは結構喜ばれます。
ですが病院によっては使えないグッズもあるので事前に確認しておきましょう。
喜ばれるモノとしてはタオル、ちょっとした防寒対策に役立つブランケットやショール、ハンドクリーム、病院内で販売しているテレビカードです。
・その他の場合
身体が動かしにくくても元気な場合ずっとベットの上や病院内にいるのは暇疲れしてしまうので、テレビやスマートフォン等に接続できるイヤホン、本や雑誌、筆記用具は結構喜ばれます。
家にお邪魔するのとは違い自由の利かない入院なので、食べやすい・使いやすい・あると便利な物は非常に有難く感じます。
「自分が入院してたら…」と考えると入院している時に何を貰ったら嬉しいのかを想像しやすいでしょう。